投資に役立つデータ集

個人投資家の備忘録

株式投資のアノマリー

投資理論や経済理論では説明できないものの、投資家が参考にしている経験則を「アノマリー」と呼びます。

アノマリーは合理的な根拠があるわけではないので、無闇に信じるのは危険です。ただし、完全に無視するわけにもいきません。

というのも、アノマリーを参考にして投資を行う勢力が一定数いるからです。「投資家がアノマリーを信じて株式を買う→株価が上がる→アノマリーが現実になる」という現象が起きるわけです。

多くの人が値上がりすると思うから、株価は上がるのです。よって、アノマリーが真実か嘘かは大した問題ではありません。重要なのは「多くの投資家が参考にしているアノマリーは何か?」を知っておくことなのです。

株式投資アノマリーを以下にまとめてみました。参考にしてください。

月日に関するアノマリー

1月効果

1月は株価が上がりやすい。特に、小型株が上がりやすい。

 

1月の株価が、その年の株価を決める

1月に株価が上がると、その年の株価は上がりやすい。逆に、1月の株価が下がると、その年の株価は下がりやすい。

 

戎天井(えびすてんじょう)

今宮戎神社(大阪)で十日戎が開催される1月9日~1月11日頃に、株価は天井を打つ。

 

節分天井、彼岸底

節分(2月3日)の頃に株価は天井を打つ。そこから株価は下がり、春の彼岸(3月20日前後)の頃に底値をつける。

 

4月効果

4月は株価が上がりやすい。

 

こいのぼり天井

5月の第1週(ゴールデンウィークの頃)に株価は天井を打つ。こいのぼりの季節が過ぎると、株価は下がる。

 

ゴールデンウィークは荒れる

ゴールデンウィークは株価の値動きが激しくなる。

 

セル・イン・メイ(Sell in May)

5月は株価が下がりやすいので、株式を売った方がよい。

なお、元々はイギリスの格言であり、原文は"Sell in May and go away. Don’t come back until St Leger day."(訳:5月に株式を売って相場から離れろ。そして、セントレジャーデイ(9月の第2土曜日)まで戻ってくるな)。9月に株価が底値をつける傾向があるため、9月に株式を買うことを推奨している。結果、5月から9月にかけて株式相場はもたつきやすいとされる。

 

サマーラリー

アメリカの株式市場では、7月4日(独立記念日)から9月の第1月曜日(労働者の日)まで、株価が上がりやすい。

上記の"Sell in May and go away. Don’t come back until St Leger day."と真っ向から対立するアノマリーだが、どちらを信じるかはあなた次第。

 

七夕天井

七夕(7月7日)の頃に株価は天井を打つ。

 

天神底

大阪天満宮天神祭が開催される7月25日頃に、株価は底値をつける。

 

夏枯れ相場

夏になると株式の取引高が減少する。日本では夏休み・お盆休み、海外では夏季休暇の期間と重なるため、市場に参加する投資家が減るのが原因とされる。特に、北半球が夏休みとなる8月で顕著。

 

9月は株価が下がる

9月は株価が下がりやすい。株価が下がる確率が最も高い月と言われている。下落幅も大きい。

 

10月効果

10月は株価が下がりやすい。特に、米国株で顕著。

 

ハロウィン効果

ハロウィン(10月31日)の頃に株価は底値をつけ、以後半年間、株価は上昇する。

このアノマリーに基づき、「10月末に買い、4月(または5月)に売る」という投資戦略が存在する。

 

感謝祭は株価が上がる

アメリカの株式市場では、感謝祭(11月の第4木曜日)の前後は株価が上がりやすい。

 

12月は株価が下がる

12月は株価が下がりやすい。利益確定・節税売り・信用取引手仕舞いが行われるためとされる。

 

餅つき相場

日本の株式市場では、年末は株式の取引量が少なくなり、株価の値動きが激しくなる。

 

掉尾の一振(とうびのいっしん)

日本の株式市場では、12月の最後の週は株価が上がりやすい。大納会(年末の最終取引日)に向けて、株価が上がる。

 

クリスマス・ラリー(サンタクロース・ラリー)

アメリカの株式市場では、クリスマス(12月25日)から1月の第1週まで、株価が上がりやすい。

 

TOM効果

月の変わり目(Turn of the Month)は株価が上がりやすい。

このアノマリーに基づき、「ある月の最終取引日に買い、翌月の第1週に売る」という投資戦略が存在する。

 

二日新甫は荒れる(ふつかしんぽはあれる)

2日から取引が始まる月は相場が荒れやすい。

 

月齢のアノマリー

新月の日(1日前後)に株価は天井を打つ。満月の日(15日前後)に株価は底値をつける。

 

SQ効果

3月・6月・9月・12月の第2週は株価が上がりやすい。

3の倍数の月の第2金曜日(「メジャーSQ」と呼ばれる)には、先物取引オプション取引清算が同時に行われるため、清算日に向けて取引量が増加。結果、株価が上がると言われている。

ただし、水曜日だけは株価が下がりやすい(後述する『魔の水曜日』)。

 

曜日に関するアノマリー

月曜株安

月曜日は株価が下がりやすい。

 

魔の水曜日

第2週の水曜日は株価が下がりやすい。

各月の第2金曜日に、オプション取引清算が行われる(3の倍数の月には先物取引清算も)のだが、その週の水曜日は株価が下がると言われている。

 

週末効果

金曜日は株価が上がりやすい。

 

ジブリ効果

金曜日にスタジオジブリ作品がテレビで放映されると、翌週の月曜日は株価の値動きが激しくなる。株価は下がることが多い。

 

時間帯に関するアノマリー

オーバーナイト効果

株式市場が開いている日中より、株式市場が閉じている夜間の方が、リターンは高くなる。

 

干支に関するアノマリー

子(ね)は繁盛、丑(うし)つまずき、寅(とら)千里を走り、卯(う)跳ねる、辰・巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申・酉(さるとり)騒ぐ、戌(いぬ)笑い、亥(い)固まる

日本の株式市場では――

子年は株価が上がりやすい。

丑年は株価が下がりやすい。

寅年は株価が上がりやすい。

卯年は株価が上がりやすい。

辰年と巳年は、株価が天井を打つことが多い。

午年は株価が下がりやすい。

未年は株価の値動きが少ない。

申年と酉年は株価が荒れる。

戌年は株価が上がりやすい。

亥年は株価の値動きが少ない。

 

イベントに関するアノマリー

選挙は買い

日本の株式市場では、衆議院選挙の一ヶ月前から投票日まで、株価が上がりやすい。

なお、参議院選挙では、そういった傾向は見受けられない。

 

解散総選挙は買い

日本の株式市場では、衆議院解散日から投票日まで、株価が上がりやすい。

 

大統領選挙のアノマリー

アメリカの株式市場では、アメリカ大統領選挙の前年は、株価が上がりやすい。

なお、大統領選挙に関するアノマリーは他にもある(例:大統領サイクル)が、上記のものが最も有名。

 

読売ジャイアンツアノマリー

日本の株式市場では、読売ジャイアンツがリーグ優勝すると株価が上がる。日本シリーズでも優勝すれば、株価が上がる確率はさらに増える。

 

スーパーボウルアノマリー

アメリカの株式市場では、スーパーボウルアメリカンフットボールNFL王者決定戦)で、NFCのチームが勝てば株価が上がり、AFCのチームが勝てば株価が下がる。

 

オリンピック効果

夏季オリンピックの開催国が決定すると、開催年に向けて、その国の株価は上がる。

なお、冬季オリンピックでは、そういった傾向は見受けられない。

 

指標に関するアノマリー

小型株効果

小型株(時価総額流動性が低い銘柄)は大型株より、リターンが高くなりやすい。

 

低PER効果

PERが低い銘柄は、PERが高い銘柄より、リターンが高くなりやすい。

 

低PBR効果

PBRが低い銘柄は、PBRが高い銘柄より、リターンが高くなりやすい。

 

ボラティリティ効果

ボラティリティ(株価の変動率)が低い銘柄は、ボラティリティが高い銘柄より、リターンが高くなりやすい。

 

配当利回り効果

配当利回りの高い銘柄は、配当利回りの低い銘柄より、リターンが高くなりやすい。

 

会計発生高アノマリー

会計発生高の小さい銘柄は、会計発生高の大きい銘柄より、リターンが高くなりやすい。

会計発生高とは、会計上の利益と現金収支の差のことで、以下の式で求められる。現金収入が多いと、会計発生高は小さくなる。

会計発生高=当期純利益(税引き後利益)-営業キャッシュフロー

 

ネグレクテッド・ファーム効果

アナリストの注目度が低い銘柄は、注目度の高い銘柄より、リターンが高くなりやすい。

 

モメンタム効果

株価が上がっている銘柄はそのまま上がり続ける。株価が下がっている銘柄はそのまま下がり続ける。

中期投資で有効とされる。アメリカの株式市場などで見受けられる現象だが、日本の株式市場では当てはまらないことが多い。

 

リターン・リバーサル効果

株価が上がっている銘柄はその後下がる。株価が下がっている銘柄はその後上がる。

短期投資・長期投資で有効とされる。日本の株式市場などで見受けられる現象。

 

企業活動に関するアノマリー

決算発表後の株価ドリフト

決算発表後に、市場の予想を超える好材料を企業が公表すると、公表直後だけでなく、その後しばらく株価が上がり続ける。

逆に、決算発表後に、市場の予想を超える悪材料を企業が公表すると、公表直後だけでなく、その後しばらく株価が下がり続ける。

 

IPOアノマリー

新規公開株式は、公開直後は株価が上がりやすい。特に、初値は公開価格を超えることが多い。

ただし、長期的に見ると株価は下がりやすい。

 

配当アノマリー

高配当銘柄は、配当の権利付き最終売買日に向けて、株価が上がる。

 

優待アノマリー

株主優待銘柄は、優待の権利付き最終売買日に向けて、株価が上がる。

 

その他のアノマリー

サザエさん効果

日本の株式市場では、アニメ『サザエさん』の視聴率が上がると株価は下がる。逆に、視聴率が下がると株価は上がる。

 

芸能人アノマリー

日本の株式市場では、有名な芸能人が結婚を発表すると株価は下がる。

 

太陽黒点

太陽黒点の数が増えると株価は上がる。逆に、太陽黒点の数が減ると株価は下がる。

 

水星の逆行

水星逆行期間は、相場が荒れやすい。

水星逆行とは、水星が公転軌道と逆向きに動いているように見える現象で、年に3、4回起きる。水星逆行の期間中は、値動きが不安定になることが多い。株価の暴落もたびたび起きている。